「幻想の島・沖縄」を読み終えた。
著書の大久保 潤氏は、日本経済新聞社の記者で沖縄支局長の経験を持つだけあり、沖縄の、特に基地問題について冷静な分析、主張となっていると感じる。
沖縄については、戦争やその後の米軍統治、日本復帰などをひきずり、やもすれば感情的な議論が多すぎるように感じてきた。
沖縄に対し、耳の痛い話、視点を加味した本である。
これまで癒しの島であるとか、沖縄戦、悲劇の島とかに対し、批判的な論評も含まれている。奧野修司氏の「沖縄幻想」とか花村萬月氏「沖縄を撃つ」など、最近の沖縄本に増えてきた傾向である。
まぁ、もともと、沖縄を癒しの島とみていたのが、沖縄好きの人たちの勝手な思い込みだったといえばそうだし、沖縄に住んでいる人は、全然そんなことは思ってもいなかったということもあるかもしれない。
それは置いといて、だ
前半はそれなりに、おもしろく読めたのですが、最後に違和感を感じたのは、「国際関係における問題は最終的に国際機構のようなもので解決したい。」という、まぁ言ってみれば、日本国憲法の理念のような結論になったことです。
これは憲法9条をもつ日本国民としては当然のことなのでしょうが、ただ、それは米国や中国も
同様に考えないと意味がないと思うし、米国は多分ヨーロッパ諸国が元々持っている「力の政治」「勢力均衡のための同盟重視」が安全保障の基本ではないでしょうか。
中国がどういう考えなのか、良くわからないのですが。
そういう中で、周りの国とは別に、日本だけが独自の日本国憲法の理念(平和主義)で沖縄の基地問題(日本の安全保障)を議論することが適当なのでしょうか。
また、東京にいると、在日米軍が日本とアジアの安定に寄与しているという実感がない。
という点には、疑問を抱かざるを得ない。
実感がないことが大事で、それが平和ということなのではないかと思うし、米軍が沖縄だけでなく、日本に駐留している必要があるかどうかはまさに、、東京を中心に議論すべき話なのだと思いますけど、
30年前の『関東移設計画』(人口密集地に集中していた首都圏中心部にあった米軍基地を周辺部に移設)の歴史も勉強する必要がありますね。
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